両腕で相手の体を抱きしめ、抱き返す。
隙間のないほど体を近づける。それでも足りずに引き寄せられ、
セリムの膝に座るような体勢で密着した。
【セリム】
「……アレクシア」
セリムが名前を呼ぶ。
誰かに見つかるのを恐れるように、小さな声で。
【セリム】
「ずっとこうしたかった。アレクシア」
【アレクシア】
「……はい」
全身でその体に触れ、触れさせる。
探し続けたものを手繰り寄せるように、
その背中を何度も撫でた。
セリムも、同じように触れてくる。
手から、五感のすべてを感じ取るかのように。
背から腰、尻の丸みまで撫で下ろし、
掬い上げた髪にキスをする。
【セリム】
「……アレクシア」
【セリム】
「アレクシア。……君を抱きたい」
【セリム】
「君を……僕のものにしたい。全部」
目を合わせると、見下ろす位置に灰青の瞳があった。
慣れない視界に不思議な感覚に囚われつつ、顔が近づく。
鏡を見ているようだった。
どちらからも同じに近づき、唇が触れる。
※素材はいずれも開発中のものとなります。