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【茉莉花】 「わぁ、みんな道着を着てる。可愛いなぁ…! みんな、こんにちは! 薫のところでお世話になってるんだよー」 わらわらと中庭の通用門からやってきた子供達。 みんな道着を着て、竹刀を担いでいる。 【まこ】 「へぇぇ、そうなんだ! せんせー、今日はおねーちゃんも一緒に稽古するの?」 【薫】 「いや、見学だけだ。 いつも通り、稽古を始めよう」 【まこ】 「ねえ、おねーちゃんがオセワになるって、せんせーの カノジョってこと? ドーセイって言うんでしょー?」 【薫】 「違う。色々あって部屋を貸しているだけだ。 またテレビで余計なことを覚えてきたな?」 【まこ】 「えー違うよー? お母さんがね、ケッコンする前にドーセイしてたら、 デキチャッタって言ってたもん。それでケッコンするんだってー」 【茉莉花】 「ええーっ!? 結婚するまえに…子供が出来ちゃう!? そ、そういうものなんだ…! 信じられないけど…そういう場合もあるってことだよね」 魔法の国なら絶対にありえない! 貞操観念があるのに、子作りに制限がないなんて…。 やっぱりちょっと不思議。 【薫】 「何の話だ、まったく…!」 女の子の遠慮ない突っ込みに、薫は呆れている。 でも、子供達を見る目はとても優しい。 【しゅん】 「あ、オレも気になる気になるー! おねーちゃんってさ、 ショーライせんせーのお嫁さんになるのー?」 【茉莉花】 「うふふ、薫突っ込まれてるよー? なんて答えるのかなぁ…わたしも興味あるある〜♪」 【薫】 「くっ…子供らと結託して悪ふざけをしようとしてるな? そんな先のことを聞かれても、俺にも分からん」 【こうすけ】 「先のことっていうことは、やっぱりケッコンするんだ! ねーねー、母ちゃんに教えてもいい?」 【薫】 「駄目だ、さっきも言っただろう? 訳あって家に住んではいるが、決して…同棲というものではない」 子供たちがはしゃぐと、薫もタジタジになっている。 チャーンス! あれこれ突っ込んじゃおうっと…! 【茉莉花】 「ええー、そうなのー? 薫、わたしのこと…そんなふうに 思ってたんだぁ…ちょっとショックかなー♪」 【薫】 「おい、子供達が誤解するような言い方はよせっ」 【しゅん】 「あー、赤くなってる! せんせーやっぱりおねーちゃんのこと 好きなんだ〜、やーいやーい!」 【まこ】 「せんせー、好きでもない人と一緒に住んでるの? 変なのー、あたしのおかあさんとお父さん、らぶらぶだよ?」 【薫】 「だから事情があると言っているだろう! く、詳しくは言えんが…すぐに結婚とか、そういうことじゃない」 子供達にもみくちゃにされながら、何とか言い訳している薫。 扱いにも慣れてる感じがする。 【しゅん】 「せんせー、もうチューはした? チューしてお嫁さんに なってくださいって言うんだろー? 俺、知ってるもん!」 【茉莉花】 「んふふ、どうかなぁ…? もしかしたら…言ってくれたり するのかなー? ねぇ薫、どーしよっか…はっきりさせちゃう?」 【薫】 「なっ…!? バカな真似はよせっ! ぬうぅ…子供を味方に引き入れるとはズルいぞっ」 微笑みながらにじり寄ると、薫は身を翻す。 それを見て、子供達は大ウケしてくれる。 【こうすけ】 「あははっ、焦ってるせんせーなんて初めてみたぞっ! 先生、へーじょうしんだよ、へーじょうしん!」 【薫】 「そうだな…こういう時こそ、平常心だ。 よし、もう冗談はいいだろう。皆、整列!」 【しゅん】 「はーいっ、せんせー!」 子供達は、からかうのに飽きてしまったみたいだ。 薫の声で、キビキビと整列する。 〜〜〜〜〜〜〜〜続きは本編で〜〜〜〜〜〜〜〜