Story(ストーリー) これはきっと、代償なんだ。

 突然の事故で父親を失った佳奈子。哀しむ暇もなく彼女を襲ったのは、主を失ったことで傾いた父の会社の、膨大な借金だった。

  母は子どもの頃に亡くなり、頼れる親戚もなく、途方に暮れる彼女に差し伸べられた救いの手───

  それは父の古い友人だという大企業グループの代表、真行寺惣一だった。

 惣一はあっという間に借金の全てを返済し、自グループに新規事業部を立ち上げることで残された社員全員を引き取ってくれた。さらには、正式に佳奈子の後見人となることに。

  真行寺家で生活することになった佳奈子は、父の元秘書である葉山司に連れられて、惣一の指定する場所へ向かう。そこは真行寺家のお屋敷ではなく、彼の息子兄弟二人だけで暮らすマンションだった。

 ここで兄弟と一緒に暮らすように言われ、戸惑う佳奈子に、追い打ちをかける一言が惣一から浴びせられる。

「二人のうち、どちらかと結婚しなさい。会社は君と結婚した方に継がせる」
  恩義や残された社員のことを考えると、断れない佳奈子。

 少しずつ、少しずつ。

 自分でも気が付かないうちに……。

 ───少女は鳥籠の中に追い込まれていく。